夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【90】米軍再編で日本の役割確認を
2004.10.21

テロ時代見据え

 パウエル米国務長官が今週23日に来日する。町村信孝外相らと会談する予定で、主要議題としては北朝鮮問題とともに、米軍再編(トランスフォーメーション)問題も取り上げられるという。
 今回は再編問題に関する私の意見を書きたい。
 3年前の米中枢同時テロ以降、米国は「新たな脅威」に対応するため、米軍を世界各地で機動的に動かすことが出来る態勢づくりを目指している。
 今月7月に米サンフランシスコで行われた審議官級協議などで、米国側は・陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)への移転・横田基地(東京都)とグアム島の両空軍司令部の統合ーといった再編案を日本側に提示している。
 また、沖縄県のキャンプ・ハンセンに駐留する米海兵隊の砲火部隊などを、陸上自衛隊東千歳駐屯地(北海道)内に移転させる案なども、日米両政府間で検討されているという。
 私は米軍再編が、わが国および極東アジア地域、世界の安全と平和につながっていく必然性があるならば、同盟国である日本が協力していくことは当然だと思うが、それだけでは部分的過ぎる。
 北朝鮮の身近な脅威に対して、再編された在日米軍がどのように対応していくかをはじめ、日本独自ではどういう役割を果たしていくかなど、トータルの協議を深めていかなければならない。
 こうした中には、日本全土をほぼ射程圏内とする北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」(射程約1300キロ)を撃ち落とせるミサイル防衛(MD)システムを全国規模で配置することも含まれるだろう。
 加えて、米国の同盟国でただ一つ、首都の真ん中に広大な米軍基地が存在している異常事態をどうやって解消していくかなど、日米両国が対等な同盟国として、今後も友好関係を続けていく努力をしなければならない。
 米軍再編によって在日米軍の管轄が拡大して、日米安保条約が規定する「日本および極東」という範囲を逸脱しかねないーという指摘もあるが、主権国家である米国の軍隊配備の詳細にまで日本が口出しできない部分もある。
 ただ、米軍再編に何も言わずに従っていくだけでは、日本は独立国家、対等な同盟国とはいえない。テロ時代の到来を見据えて、わが国が独立国家として、米国の同盟国として、日本および極東アジア地域、世界の安全と平和のために、どのように連携していくかという国家の基本をまず確認すること。
 そのうえで、日米安保の再定義も念頭に置きながら、大局的視点で米国と協議していくべきではないか。

※無断転載を禁ず

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