夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【91】なぜ急ぐ?災害に「補正予算必要ない」
2004.10.28

 先週末、新潟県中越地方で最大震度6強を記録した大地震は、震度6から1の余震が頻発しており、日に日に被害が拡大している。亡くなった方々のご冥福(めいふく)をお祈りするとともに、被災者のみなさんには心からお見舞いを申し上げたい。
 政府と自民党は早急に被害状況を把握し。被災者の方々が一刻も早く普段の生活に戻れるよう、補正予算を含めた必要な措置を取ることをお約束する。
 それにしても、今年の日本列島は災害の当たり年だ。
 台風は特に多く、26日現在、過去の年間最多記録(6個)を大幅に上回る10個が上陸しており、全国各地で堤防決壊や土砂崩れ、土石流など甚大な被害が発生。死者・行方不明者は200人を超えている。
 迅速な災害復旧と防災対策が必要だが、谷垣禎一財務相は先週21日、「補正予算は必要ない」という考え方を示していた。これはおかしい。
 22日の自民党総務会では、武部勤幹事長が自ら「岡山に現地調査に入る」といい、玉沢徳一郎災害対策特別委員長も「全力挙げて調査している」と語るなど、当時は党や政府で被害状況を調査・集約していた時期。
 十分に被害状況を把握したうえで、必要とあれば自民党として「補正予算を組む」という姿勢を示し、政府がきっちり対応するのは当然のことであり、被害調査が終わらないうちから、「必要ない」というのは時期尚早ではないか。
 私が建設相だった平成9年7月、鹿児島県出水市の針原川で21人もの死者が出る土石流災害が発生した。私はすぐ現地に飛び、災害対策本部に詰めて救出作業や復旧作業の指示を出した。
 針原川では2つの砂防ダムが建設中だったが、これがなければ、さらに被害が拡大していた恐れがあった。防災対策の必要性を身を持って感じたものだ。
 こうした経験を踏まえて、私は21日の志師会総会や前出の党総務会で、「(災害復旧と防災対策のために)思い切った補正予算を組むことで、国民の不安を払拭(ふっしょく)すべきだ」と述べ、小泉純一郎首相に申し入れることを明らかにした。
 国民の生命と財産を守るのは国家の基本的義務。災害発生後の救出・復旧作業だけでなく、自然の脅威に備えるために堤防や砂防ダムの整備といった防災対策を行うことは、国家として担うべき重要な任務なのである。
 小泉内閣が推進する「三位一体改革」は、国庫補助負担金と地方交付税の廃止や削減ばかりが優先され、それに見合う税源移譲などがなされず、地方に痛みを強いるものとなっている。
 新潟県中越地震などを踏まえて、首相は24日、平成16年度補正予算案を年末までに編成して、17年1月召集の通常国会冒頭で可決する方針を示した。今後とも、国家の責任である災害対策が軽視されることのないよう見守っていきたい。

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