夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【97】拉致問題は毅然と周到に徹底的に
2004.12.16

自国でやる覚悟

 北朝鮮が拉致被害者、横田めぐみさんの「遺骨」として提供した骨が他人のものと判明したことが、日本国民の怒りを集めている。政府間の実務者協議で物的証拠として出されたものがニセ物だったわけで、私も国家として毅然(きぜん)とした姿勢を示すためにも、経済制裁はすべきだと考えている。
 ただ、北は経済制裁発動について「宣戦布告とみなす」と公言しており、政府としては日本全土をほぼ射程圏内とする弾道ミサイル「ノドン」(射程約1300キロ)の発射や、国内テロが発生するリスクも考慮しなければならない。
 感情論で突っ走る前に、国家の基本的責務である国民の生命と財産を守るためにも、一刻も早く、北の弾道ミサイルを撃ち落とせるミサイル防衛(MD)システムを全国規模で配置すべきだ。
 政府は今年度予算で「首都防衛のため」として約1400億円計上しているが、首都圏以外の国民はどうでもいいのか。防衛庁によると7000億円あれば全国は位置できるのだから、補正予算などで対応すればいい。
 当然、地下鉄や空港、駅、原子力発電所などで国内テロへの備えも万全にしなければならない。米国は同盟国として協力してくれるだろうが、在韓米軍の存在などで動きにくい部分もあるだろう。過度に依存するのではなく、自国でできることは自国でやる覚悟が重要である。
 加えて警察は日本人拉致を犯罪として徹底的に捜査するべきだ。
 私は平成14年に拉致被害者5人が帰国したときにも官房長官や警察庁長官に強く要請したが、拉致被害者や家族の方々から詳細な事情聴取を行い、その情報を元にして、北に捜査協力をさせなければならない。
 拉致被害者の方々の心のケアーは大切だが、北にはまだ100人以上とも数百人ともいわれる拉致被害者や疑いのある人々がいる。彼らを救出することは国家としての重大な責務である。
 最近になって、数人の拉致被害者から事情徴収したようだが、曽我ひとみさんの夫、ジェンキンスさんからも事情を聴くべきだろう。
 北が拉致事件の幕引きを狙っている以上、私はここに至っては、捜査状況を公開する必要性も考えている。警察がこれまで拉致事件についてどこまで捜査を行い、どれだけの犯罪事実をつかんでいるか、また、北はどこまで協力しているか、国会で国民に明らかにするのだ。
 北のあいまいな対応に合わせるように、日本もあいまいではいけない。残虐非道な拉致という犯罪に対して、冷徹に犯罪事実を積み上げて、筋道を立てて対応するときにきている。

※無断転載を禁ず

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