夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【101】小泉ゴリ押し国会なら許さない
2005.01.20

愚かな予算案

 21日に召集される通常国会について考えたい。
 まず、平成17年度予算案が提出されるが、アクセルを踏むべきときにブレーキをかけるような愚かな予算案というしかない。
 日本経済が堅調に推移して、大企業から中小零細企業まで、大都市から農村まで未来に向けて伸びていくトレンドにあるときならいいが、この3年間、わが国経済が縮小傾向にあるのは誰の目にも分かることだ。
 「景気が良くなってきた」という分析もあるが、一部の大企業が下請けや孫請けの利益を食って黒字を出しているだけ。東京近郊はまだマシだが、地方は目も当てられない惨憺(さんたん)たる状況になっている。とても、国民全体が豊かに活力を持って進んで行くような状況ではない。
 新年早々、経済3団体の首脳は「経済構造改革が進んでいる」などとノー天気なコメントを出していたが、ごく一部の者だけが満たされ、ハゲタカ外資のろう断を許している日本経済の現状が本当に素晴らしいと思っているのか。理解に苦しむこと、このうえない。
 通常国会の焦点の1つに郵政民営化が挙げられているが、郵政公社は発足してまだ1年半しか経っていない。スキャンダル続きのNHKのように国民から不満や批評が噴出しているわけでもなく、赤字を垂れ流している。
 これを一気に民間会社にしてしまうなど、権力者が権力をもてあそんでいるとしかいいようがない。
 識者の中には「郵政民営化は大蔵省と大銀行がライバル郵便局を叩きつぶすために考え、大蔵族の小泉首相が同調したもの。これに100兆円を超す簡易保険の資金を狙う米保険業界が乗り、ブッシュ政権を通じて後押ししている」という解説もあるが、事実なら日本の国益にはならない。
 自民党の政策を無視して郵政民営化をゴリ押ししようとするなら、もう党は黙っていない。首相にはお引取りいただくしかない。

北問題も厳しく

 北朝鮮問題も極めて厳しい。北は拉致被害者の横田めぐみさんの「遺骨」として提供した骨が別人のものと判明したことが、国民の怒りを集めている。
 2度も訪朝した首相をバカにした対応だが、これは首相自身が外交である北朝鮮問題を「参院選対策」や「支持率アップ」といった内政に利用しているから。やってはならないことなのだ。
 首相が謙虚に反省しておわびして政策転換するならいいが、そうでなければ小泉政権は終わりだろう。完全に潮目が来たといえる。

※無断転載を禁ず

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