夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【102】朝日vsNHK マスコミは聖域ではない
2005.01.27

 NHKが平成13年1月に放送した戦争特集番組について、朝日新聞が「政治介入があった」と報じた問題をめぐり、NHKと朝日新聞が激しいバトルを続けている。
 最初に、NHKが取り上げた市民団体による疑似裁判「女性国際戦犯法廷」だが、弁護人も弁護側証人もない中、慰安婦問題について昭和天皇と日本国に有罪判決を下すというお粗末なもの。
 また、事前に裁判の趣旨に賛同して、契約書に署名提出した者だけに取材や傍聴を許可するという異様な仕組みだったという。
 こういうものを、公共放送であるNHKが教育番組として放送しようとしたこと自体に疑問を感じさるを得ない。
 一方の朝日新聞だが、安部晋三幹事長代理と中川昭一経産相が「(放送)前日、(NHK)幹部を呼び『偏った内容だ』などと指摘」したとして、政治介入があったかのように報じている。
 しかし、両氏がNHK幹部と面会したのは予算説明を受けたためで、2人から呼び出したことはないうえ、阿部氏は放送法で定められた「公正中立な放送」を求めただけ。中川氏に至っては面会したのは放送後というではないか。
 マスコミは決して聖域ではない。
 私は国会議員でも一般市民でも、報道の事前事後にかかわらず、その内容について意見を述べるのは自由であると考えている。その意見を聞いて、どのように報道するかを判断するのは「言論の自由」が保障されたマスコミの問題だろう。
 以前、私は民放テレビで名誉を著しく傷つけるような事実無根の内容を報じられ、徹底的に戦って訂正放送をさせたことがある。
 しかし、現実には報道されてから抗議するのでは遅い。視聴者にマイナスイメージが植えついており、完全な名誉回復は難しいのだ。事前に報道内容が分かったら、「それは事実と異なる」と訴えるのは当然ではないか。
 もし、「マスコミは全て正しい。意見を言うことまでケシカラン」というなら、逆に報道機関が被取材者や視聴者の「言論の自由」を侵害したことになる。まさに、マスコミのおごりというしかない。
 NHKのニュースによると、「発言内容を歪曲(わいきょく)され意図的に書かれた」と記者会見したNHK 幹部に対し、問題の記事を書いた朝日記者が「どこかでひそかに会えませんか?」「証言の内容について腹を割って調整をしませんか」と持ちかけていたという。一体どうなっているのか?
 NHKも朝日新聞もともに問題だ。「捏造(ねつぞう)記事で名誉を傷つけられた」という安部、中川両氏も含めて、徹底的にやりあった方がいい。

※無断転載を禁ず

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