夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【103】教育基本法改正案先送りを憂う
2005.02.03

最重要項目だ

 政府与党は先日、教育基本法改正案の今通常国会への提出を見送ることで合意した。「愛国心」に関する条文化をめぐって、自民、公明両党の溝を埋めることが困難と判断されたためという。
 自民党が「国を愛する心」の明記を主張したのに対し、公明党は戦前のような国家主義復活を懸念して「国を大切にする心」と主張していたとされる。
 報道によると、公明党としては東京都議選を今年7月に控え、自民党の主張を受け入れれば支持者の理解を得にくいという事情があるという。
 私は教育は国の未来を決する最重要項目ととらえている。
 自分自身の政策である「21世紀の『革命的改革』」の中でも、「戦後の占領政策により日本人の自国の歴史に対しての誇りと自信を失った結果、精神的荒廃が進み先人の知恵によって築き上げた繁栄を受け継ぐことができなくなってしまった」として、以下の具体的解決策を提案している。
 1.未来を託す人間を育成するため教育基本法を改正し、知識の詰め込みが主体の教育を改める。
 2.子供たちが友情を暖めながら一生の友を得る場を作り、公立校の全寮制教育の導入や6・3・3制から6・6制の教育に改めるなど、思い切った教育改革を断行する。
 3.日本の伝統文化に実際に触れさせ、宗教や人間についての理解を深めると共に、国家に自信を持ち、自分だけでなく皆で幸せになろうという共生の精神の育成など、日本人が本来備えていた誇りや魂を蘇らせる人間教育に重点を置くーなど。

本音の議論を

 それだけに、中央教育審議会が教育基本法見直しを答申してから2年近くが経過し、先月18日の自民党大会でも基本法改正の年内実現が採択されたのに、また先送りされたことには疑問を感じている。
 公明党の方々は「国を大切にする心」と主張しているようだが、「国を愛している」からこそ「大切にする」のではないのか。教育の基本に何が大切かについて本音で議論すれば、この程度の違いは乗り越えられるはずだ。
 自社さ連立政権を立ち上げる直前、私は社会党(現・社民党)の幹部の方々と腹を割って話し合い、同党が掲げていた「日米安保反対」「君が代、日の丸反対」という看板を下げてもらった。それが日本の未来のためだと信じたからだ。
 「国家100年の計」である教育の問題を先送りにするなら、自民、公明両党ともさらに支持者から見放されるのではないか。

※無断転載を禁ず

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