夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【104】陰山校長に「当たり前の大切さ」を学んだ
2005.02.10

土堂小を視察

 今月初め、地元・広島県尾道市の土堂小学校を視察してきた。同校は作家の林芙美子氏や映画監督の大林宣彦氏を卒業生に持つ、創立105年という歴史ある小学校だが、最近、実践研究校として全国的に有名になっている。
 これは平成15年度から、公募で選ばれた陰山英男校長が着任した影響が大きいという。
 陰山校長はその前年度まで兵庫県の小学校教諭として、「百マス計算」などの「読み書き計算」の徹底による学力向上で教育関係者から注目されていた人物。「知的な面だけでなく、体力や精神力の面でも粘り強い人間を育てる」という理念のもと、同校で実践教育を行っている。
 私は1年生と5年生の算数の授業を見学したが、先生と生徒が喜々として勉強に励んでいた。その集中力の高さには驚くほどで、さながら先生はオーケストラの指揮者で、生徒はバイオリンやフルートの演奏家のような雰囲気だった。
 同校はまた「早寝早起き」や「テレビは1日2時間以内」という指導もしていた。これには保護者や地域の理解・協力が不可欠だ。生徒は夜10時には就寝するため、朝7時には登校してくる。大きな声の挨拶はすがすがしかった。
 学校側の向上心の高さも関心した。優れていると思う他校の方法はすぐ取り入れるといい、その手法を学ぶために先生を派遣したり、実践している先生を校内研修会に呼ぶのは当然だという。
 こうした結果、陰山校長の着任からわずか2年で、同校の生徒たちの知力や体力は驚くほど伸びたという。私は改めて、当たり前のことを当たり前にすることの大切さを学んだ気がした。
 最近、学校崩壊や教育荒廃が指摘されているが、これは学校と家庭、地域が一体となって、当たり前の教育をしてこなかったからではないか。子供たちのための本当の教育をしてこなかったからではないのか。
 先週このコラムにも書いたが、私は教育こそ国の未来を決する最重要課題ととらえている。
 土堂小学校を視察後、すぐ中山成彬文部科学相に電話すると、文部相は「ぜひ、自分も見たい」と語っていた。陰山校長のような挑戦は、どんどんバックアップしていくべきだろう。

地域も協力…学校崩壊と無縁

※無断転載を禁ず

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