夕刊フジ連載
ライブドアが米投資銀行と組んでニッポン方法株を大量取得して敵対的買収を仕掛けたことで、外資による日本企業買いへの警戒論が強まっている。
ライブドアのニッポン放送株大量取得
政府は当初、外国株を対価にした外貨による日本企業の合併・買収(M&A)を容易にすることを含んだ改正会社法案を今国会に提出し、来年から施行する予定だった。
外資によるM&A凍結は当然
しかし、わが志師会を中心として、「ニッポン放送の一件でも明らかだが、日本企業が準備不足の現状で実施することは極めて危険だ」「米国企業は資本金や時価総額で大きく日本企業を上回っており、国の富でもある日本企業が次々と乗っ取られることになる」といった意見が続出した。
このため、自民党法務部会は11日、改正会社法の外国株による日本企業のM&Aを容易にする規定を、法律の施行後1年間、凍結することを決めた。
これは極めて当然の対応といえる。
いくら資本主義や市場原理といっても、決してお金が会社を経営しているわけではない。経営者や従業員たちが日々知恵を絞り、努力に努力を積み重ねて動かしているのだ。
国民が延々と築き上げてきた大切な企業を、外資が札ビラで横っ面をたたくように横取りされていいのか。
米国型の手荒いやり方日本に合わない
報道によると、1980年代に米国で敵対的買収が続出したときは、買収元はまだ自分のものでない買収先の資産を担保に資金を借り、買収後はその資産や関連部門を切り売りし、借金を返済するという荒っぽい手法まで登場したらしい。
結局、買われた側の企業価値は損なわれ、株価は乱高下し、株主利益も失われたという。こうしたマネーゲーム的な手荒なやり方は日本の経済風土に合わないはずだ。
自民党では今後、外資の買収に対する日本企業の防衛策などを総合的に研究するプロジェクトチームを設けることを検討しているが、ぜひ、経済界でも日本経団連を中心にして、米国型資本主義をそのまま取り入れることの是非について論議してほしいと思う。
今回の騒動の行方はまだ見えないが、外資が絡んだ敵対的買収の危険を世間に知らせ、危機感の薄かった日本企業に警鐘を鳴らした意味は大きい。
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