夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【110】「郵政民営化」キチンと議論しろ
2005.03.24

卒業シーズン

 先月19日、郵政民営化関連法案をめぐって、政府と自民党との非公式協議が都内のホテルで行われたが、その中身を聞いた限り、これほど国民をバカにしたひどい話は聞いたことがない。
 非公式協議には、政府側からは細田博之官房長官と麻生太郎総務省、竹中平蔵郵政民営化担当相が、自民党側からは与謝野馨政調会長と柳沢伯夫政調会長代理、園田博之郵政関係合同部会座長が出席した。

「先送り」「形だけでも」なんて

 この席で、焦点だった「平成29年までに郵便貯金銀行、〒保健両社の全株を売却」という完全民営化時期の政府方針について、「民営化から3年ごとに検証する」と先送りも可能にする見直し条項設定を軸に調整することで一致。
 さらに、党側が同19年4月の民営化時に、分社化される各社をつなぐ情報処理システムの構築が間に合わない場合、民営化時期を遅らせる規定を法案に盛り込むよう提案。引き続き検討することになったという。
 そもそも、日本郵便公社は2年前にスタートしたばかりだが、黒字なうえサービス向上も目ざましく、国民からも「よくやっている」と高く評価されている。
郵政について論じる場合、まず公社のどこが悪いのか、どこを直すべきなのかを話し合うのが当然といえるが、先の協議では「先送り」とか「見直し」とか政治的出口論ばかり話し合われているのだ。
つまり、小泉純一郎首相の持論である郵政民営化だけでも通すためなら、中身は「先送り」でも「見直し」でに譲歩して構わないということなのだ。
 22日の自民党総務会ではこの問題が取り上げられ、与謝野氏は「そこまで言ったわけではない。将来、柔軟に対応しようということだ」と釈明したが、多くの委員から「中身を決めないで対応策を話し合うなど本末転倒」「首相の顔さえ立てれば、後は何をしてもいいのか」といった批判が続出した。

首相のエゴ通すための密室協議だ

 私もまったく同感だ。
 郵便事業は明治4年に前島密によって創設され、いま21世紀にふさわしい郵政公社を目指して日々、自己変革を続けている。権力者のエゴを満たすために郵政民営化を密室で協議したとすれば、民主主義の死であり許し難い。
 政府は少し思い上がっているのではないか。私は毅然(きぜん)として問題提起していきたい。

※無断転載を禁ず

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