夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【112】解散強行なら政治テロだ
2005.04.09

小泉純一郎首相の意向を受け、政府が今週初めに提示してきた郵政民営化法案の骨子について書きたい。
まず、郵便、貯金、保健、窓口ネットワークの4分社化が打ち出されている、健康体の郵政公社を切り刻むなど尋常ではない。
郵政公社は2年前のスタート以来、民間から招いた生田正治総裁のもとで、日々、サービス向上や経営の効率化などに励み、国民からも「よくやっている」と高く評価されている。
完全な黒字であり、1円の税金も使っていないのに、4分社化にあたって何と1兆円もの税金をつぎ込むという。「国民負担をできるだけ減らそう」というのが本来の改革ではないのか。小泉郵政改革はまったく逆といわざるを得ない。
新聞やテレビは、事業会社間の将来的な株の持ち合いの容認が打ち出されたことなどをとらえて「首相が譲歩した」などと報じているが、とんでもない。
命の危険さえある無謀な大手術の前に、ヤブ医者が「ツメは伸びているが切らないようにしよう」と言っているようなもので、基本とはまったく関係ない。
以前も指摘したが、郵政改革について論じる場合、現在の郵政公社のどこが問題なのか、どこを直していくべきかを話し合うのが当然。首相は郵政公社を発足された張本人なのだから、彼らの努力を見守る余裕はあるはずだ。それとも、何か隠された思惑でもあるのか。

自民下野も視界に

現在、党郵政改革関係合同部会で法案骨子が議論されているが、これまで民営化反対を唱えていた議員が、この程度で賛成に回ることはあり得ない。政府は党の了承を得ずに国会提出をするかもしれない。そうなると法案は否決されるのがオチで、次期総選挙での自民党下野すら視界に入ってくる。
首相や側近幹部は「解散総選挙」の可能性までチラつかせている。与党から選ばれた首相が党内を説得できないからといって解散するなど「政治テロ」以外の何ものでもない。首相はヒトラー以上と言ってもいい。

採決欠席者膨大に

官邸周辺からは「違反の可能性のある33人リスト」=別表=なるものまで流出している。まさに官邸が追い込まれておびえている証拠といえる。その数人自体がいい加減だが、仮に33人が違反の確信犯とすれば、本会議欠席者は膨大な数になり、本案否決は確実といえる。
ともかく、私は政府案に断固反対することを宣言しておく。


郵政民営化法案、造反33人リスト
[ 橋本派 ] 綿貫民輔、佐藤信二、野呂田芳成、斉藤斗志二、佐田玄一郎、松下忠洋、今村雅弘、田村憲久、森岡正宏、竹下亘、小泉龍司、保坂武、岡本芳郎、長谷川憲正
[ 亀井派 ] 亀井静香、青山丘、小林興起、宇野治、江藤拓、谷公一、魚住汎英、亀井郁夫、荒井広幸
[ 堀内派 ] 上川陽子、左藤章、平井卓也、真鍋賢二
[ 高村派 ] 赤城徳彦
[ 河野グループ ] 亀井久興
[ 二階グループ ] 江崎鉄磨、泉信也
[ 無派閥 ] 野田聖子、山口俊一

※無断転載を禁ず

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