夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【113】郵政民営化の茶番と暴走
2005.04.23

郵政民営化問題は民主主義を完全に無視した展開になっている。 自民党郵政改革合同部会は19日夜、党執行部が白熱の議論を突然打ち切り、怒号が飛び交うなか、「政府側と郵政民営化法案の骨子について交渉する一任を取り付けた」と一方的に宣言して散会となった。
もともと、党執行部は政府側と交渉していた。それを改めて、「交渉する一任を取る」と言い出すなど、茶番劇以外の何物でもない。
加えて、執行部の中で「一任」についての認識が180度違うとなると、執行部に対する不信感は高まるばかりだ。
部会の園田博之座長は「交渉の途中経過も含めて報告する。そういう意味での一任だ。最終結果が出たら部会で賛否を問う」と明言していたが、与謝野馨政調会長は「交渉結果を部会に報告すれば足りる」と語っているという。
なぜ、こんな詐欺的手法を使うのか。これでは、とても郵政民営化法案について党総務会が認めるわけにはいかない。
そもそも、郵政公社は小泉純一郎首相が2年前にスタートさせた。首相自身が民間から招いた生田正治総裁のもとで、日々、サービス向上や経営の効率化などに励んでおり、国民からも「よくやっている」と高く評価されている。
郵便局は以前から1円の税金も使っておらず、公社化してから1兆円近い黒字を出しているのに、政府案骨子の4分社化では、1兆円(執行部の要求では、さらに1兆円超を上積み)もの税金を基金につぎ込むという。
本来の改革は「国民負担をできるだけ減らそう」というのが大目標のはずだが、小泉郵政改革は逆なのである。
公社発足時に4年後の見直し規定が付いている。首相自身が公社発足の張本人なのだから、その努力を期限まで見守ったうえで、「公社の修正でいいか」「やはり民営化するべきなのか」を徹底的に話し合えばいいではないか。
総裁任期が来年9月までだからといって、自身が決めた見直し規定や民主主義の原則さえ無視して民営化に突っ走るなど狂気の沙汰(さた)だ。古代王朝でもこんな独裁手法は取っていない。自分の趣味で国家をオモチャにするなど許されない。

解散恐れず、法案否決へ闘う

党内の了承を得られなくても首相は今月中に民営化法案を国会提出する構えのようだが、われわれの覚悟はできている。政治家の良心に従って、委員会や本会議で法案否決のため堂々と行動していく。
首相は側近議員らは「解散総選挙」をチラつかせて恫喝(どうかつ)している。
年金改革や経済対策、北朝鮮外交といった課題が山積するなか、国民的関心の低い法案が否決されたからといって解散するなど「政治テロ」以外の何ものでもない。ただ、解散をおそれて信念を曲げるような輩は政治家ではない。
私は頑固として戦う。

※無断転載を禁ず

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