夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【114】首相の独裁的政治手法に断固反対
2005.05.16

 昨12日、私が会長を務める志師会事務所に竹中平蔵郵政担当相が訪ねてきた。GW前に国会提出した郵政民営化法案に対する協力を求めるものだったので、以下のことを直々に指摘しておいた。

竹中担当相に直言した!!

 まず、現在の郵政公社は小泉純一郎首相が2年前にスタートさせ、首相自身が民間から招いた生田正治総裁のもとで、日々、サービス向上や経営の効率化などに励んでおり、国民からも高く評価されている。
 公社発足時に4年後の見直し規定が付いているのに、その結果を待つことなく、「一体、何のための民営化なのか」「国民の利益は何か」といった批判や疑問の声を無視して、焦るように民営化に突き進むのはおかしいということ。
 加えて、民営化すれば地方の郵便局の経営は厳しくなる。政府は2兆円規模の基金設置を検討しているが、これが何年持つか分からない。銀行もない地方の過疎地に住む高齢者の生活を支えていた郵便局が無くなる可能性もある。
 ある過疎地の郵便局では、民間のヘルパーや役場、社会福祉協議会の手が回らないおじいちゃん、おばあちゃん宅を郵便局員が回り、日常生活のお手伝いをしていたが、民営化後は難しくなる。お年寄りをイジメていいのか、と。
 竹中担当相は「ぜひ、ご指導を賜りたい」などと語っていたが、私は「解散風を吹かせれば反対・慎重派が黙って、法案が成立すると思ったら大間違いだ。反対から賛成に寝返った議員を落選させる力は郵便局にある。大修正しない限り、とても認められない」と通告しておいた。
 同法案の審議について、首相の意を受けた自民党執行部は特別委員会の設置を打ち出しているが、関連法案の審議もあるのだから総務委員会でやればいい。現在、総務委員会は大きな懸案事項を抱えているわけではないのだから。
 また、党執行部の一部は民営化法案の国会採決に関して「党議拘束がかかる」と公言しているようだが、先月27日の総務委員会では圧倒的多数が法案反対で、「法案の国会提出のみの了承」ということだった。真っ赤なウソを吹聴するなど、政治家としての見識を疑わざるを得ない。
 そもそも、現在の日本には北朝鮮による核開発・拉致問題や東シナ海のガス田問題など、外交安全保障上の問題が山積している。世論調査でも、郵政民営化に対する国民の関心は低く、決して、大急ぎで成立させるべき法案ではない。
 首相は他の政治課題を後回ししてでも突き進むようだが、政党政治や議会制民主主義を無視した暴挙といえる。
 ヒトラーは全権委任法に基づいて独裁を行ったが、首相は何も関係なく独裁政治を始めている。われわれが懸念するのは郵政民営化だけではない。首相の独裁的政治手法そのものなのだ。

※無断転載を禁ず

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