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亀井静香のこれから勝負だ!
【特別編】反対派を切り崩す方法はない 我々は間違った政治を終わらせる
2005.07.12

 参院に戦いの舞台を移した郵政政局。衆院本会議で行われた郵政民営化法案の採決は、綿貫民輔前衆院議長(77)を旗頭とする自民党反対派が、恫喝(どうかつ)まがいの切り崩し工作を展開した小泉純一郎首相(62)率いる党執行部を5票差まで追いつめた。反対派の中核メンバー、亀井静香元政調会長(68)は11日までに、本紙のインタビューに応じ、採決の壮絶な舞台裏を明かした。そして、最終決戦となる参院攻防戦について「想像を絶する数で否決する」と断言した。

--5日の衆院採決は賛成233票、反対228票だった

「惜しかった。前日(4日)までは完全に否決可能だったが、党執行部が『解散するぞ』『お前を公認しない』『落選させる』などと、実現不可能な脅しで切り崩してきた。そんな卑劣な手段で政治家の信念を曲げさせるなど許されないが、10人ぐらいがこぼれた」

--でも、造反者は51人に及んだ。郵政民営化だけでなく、首相や党執行部の強引な政治手法への反発が根強かった

「首相や党執行部のやり方は民主主義ではない。こんな強権政治はヒトラーでもやらなかった。ヒトラーは全権委任法に基づいて権力を行使したが、彼ら(執行部)は法律も慣例も無視してゴリ押ししている。それを放置しているマスコミの責任も重い」

--首相は国民向けのパフォーマンスはうまいが、実像はかなり違うという指摘がある

「まったく違う。他人の言うことを聞かず、強権を使って他者を押さえつける。やっていることは完全な独裁政治だ。ヒトラー以上の独裁をしているが、党執行部や多くの党所属議員は唯々諾々と従っている。われわれは日本のため、国民のため、そういう間違った政治を終わらせようと行動した」

処分するなら武部幹事長も一緒に

--党執行部は造反者を処分していない

「できないよ。大体、武部勤幹幹事長自身が(平成12年11月の)『加藤の乱』で、森内閣不信任決議案の採決に欠席(=党紀違反)しているのだから。処分するというなら、自分も一緒に処分すればいい」

--綿貫氏を中心にした新しい派閥結成の動きがあるのか

「私は聞いていない。憶測じゃないの」

--戦いの場が参院に移った。すでに、青木幹雄参院議員会長(71)を中心に反対派の切り崩しが進んでいるようだが

「できない。参院には解散もないし、人事だって順番が決まっている。切り崩す方法がない」

参院否決で解散は筋通らない

--切り崩しのため、衆院採決前から現金が飛び交っているとの驚くべき情報もある

「確かに、そういう噂は聞いている。万が一、事実なら、それは贈収賄事件です」

--民営化法案の展望だが、参院本会議の採決で自民党から18人が反対すれば否決となる

「完璧(かんぺき)なノックアウトを奪う。完全に法案否決です。想像を絶する数字が出ますよ。見ていて下さい。新潟や福岡の地震の際も、職務を全うした郵政公社の職員諸君を安心させるためにも、(継続審議ではなく)今国会できちんと結論を出しますから」

--首相や党執行部は「参院で法案が否決されたら、国民に信を問う」といい、衆院の解散をチラつかせている

「憲法違反の疑いか極めて高い。二院制の根幹が分かっていない。衆院で可決された法案が参院で否決されたからといって、衆院を解散するなど筋が通らない。憲政の常道に反する」  「大体、まだ参院審議すら始まっていない。前代未聞ですよ。そうやって圧力をかけ、強引に法案を通そうとしている。これが彼らのやり方だ。精神に異常をきたしていないとできない」

--小泉政権の終わりが見えてきたのか

「こんな乱暴なことが続けられるはずがない。サーカスの曲芸でも、こんなことをやっていたら(奈落の底に)落ちます。法案が否決されレームダック(死に体)となっても首相を続けられるのか。やけくそ解散が無理となったら、内閣総辞職しかない」

内閣総辞職しか…

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