夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【118】やけっぱち解散受けて立つ
2005.07.12

脅しには動じない

 郵政民営化法案の衆院採決で造反した私を含む51人の取り扱いについて話し合う自民党政治倫理審査会懇談会が20日、開かれた。
 本来、所属議員の処分を決めるのは党紀委員会であり、政倫審を開く意味が全く理解できない。参院での法案審議の最中、党執行部は反対派を脅したつもりかもれないが、痛くもかゆくもない。
 前回コラムにも書いたが、われわれの処分を話し合うなら、平成12年11月の「加藤の乱」で、森内閣不信任議決案の採決に欠席した武部勤幹事長自身の処分もハッキリすべきだろう。
 ともかく、われわれ郵政事業懇話会のメンバーは、政倫審が造反者に事情聴取や弁明書提出を求めても応じず、綿貫民輔会長に対応を一任することで一致した。
 それにしても、郵政民営化法案をめぐる首相や党執行部らの発言は狂気の沙汰(さた)というしかない。  「参院で法案否決されれば衆院を解散する」「造反者は公認しない」「対立候補を立てる」「自民党は分裂選挙になり崩壊する」「政界は大混乱に陥る」
 ヤクザも真っ青の恫喝(どうかつ)というしかない。法案に自信があるなら、正々堂々とその正しさを説けばいいのに、どうしてこんなひどい発言を繰り返すのか。
 衆院で可決された法案が参院で否決されたからといって、衆院を解散するなど全く筋が通らない。二院制の根幹を無視した発言であり、憲法違反の疑いすらある。
 いくら強力な権力を握っていても、国会議員に理に反することを押し付けてはダメだ。国会議員は有権者によって選出された存在。特に、参院は「良識の府」であり、衆院のカーボンコピーではない。議員1人ひとりが良識的判断で法案への賛否を示せばいい。
 ある世論調査では50%以上の人々が「参院で法案否決なら解散総選挙すべき」と回答しているようだが、同法案の今国会成立を望む人はたった25%。つまり、政界がゴタゴタするようならば「選挙で出直せ」と言っているだけなのだ。
 国会は唯一の立法機関であり、国会議員には提出された法案が本当に国民のためになるのか徹底的に審議する責任がある。首相や党執行部の脅しに怯んで、国民を見捨てるわけにはいかない。首相がやけっぱち解散に打って出るなら、堂々と受けて立つだけだ。

※無断転載を禁ず

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