夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【特別編】このままでは日本沈没だ
2005.09.20

 自民党圧勝で終わった第44回総選挙で、新たに立ち上げた「国民新党」で戦い、勝ち抜いた亀井静香元建設相(68)。本紙連載「これから勝負だ」の特別インタビューに応じ、刺客・ライブドアの堀江貴文社長(32)らとの選挙戦を振り返るとともに、小泉純一郎首相(63)率いる連立与党の危険性や、日本の民主主義の危機について警鐘を鳴らした。

--自民党は296議席、与党は公明党を合わせて総定数の3分の2(320議席)を上回る327議席を獲得した

  「ここまでとは思わなかったよ。愚かだよ。日本民族がなえてきた」

--愚かとは?

 「政治には、外交や経済政策、社会保障、教育などいろいろあるのに、首相は郵政民営化という一つ沙汰(さた)といえるが、それを国民もマスコミも批判しないで拍手喝采(かっさい)していた。日本は非常事態だ」

都会で弱肉強食化が進んでいる

--ただ、亀井さんは負けなかった

 「地元で座談会を2、300回はやった。『首相は改革と言いながら、地方・弱者切り捨て、国民を不幸にする破壊を続けてきた』『米国のハゲタカに日本の資産を売り渡している』。じっくり話せば分かってくれた。地方の人間は自然や周囲の人々と調和し共存して生きている。一方、都市部では希薄な人間関係の中で相手を食って生きている。弱肉強食。都会では他者を顧みない狩猟民族化が進んでいる」

--刺客に送り込まれた堀江社長をどう思うか

 「政治に無関心だった若い人が、意欲を持って挑戦されたことは歓迎したい。ただ、堀江さんの場合、自民党の政策や綱領と彼の思想信条がまったく異なる。無所属とはいえ、それでも『刺客』を引き受けたことは、彼の純粋性が疑われる。残念だ」

--思想信条というと?

 「彼は『天皇制反対』だし、『公的年金もいらない』という立場。そういう人物を『刺客』に送った、首相や自民党執行部もおかしい」

自民は首相の投票マシンになる

--ここまで圧勝した自民党はどうなるか

 「首相の投票マシンになるね。首相が言ったことが、そのまま結論になるのだから。党内部での議論とか、多数派が少数意見を尊重していくとか、従来の議会制民主主義の機能は失われていくだろう」

--誰も文句を言えない?

 「逆らえないね。少しでも抵抗したら、次の選挙で刺客を立てられて落とされる。首相にとっては行政も議会も関係なくなる。それをマスコミが応援している。小泉内閣に批判的な評論家やコメンテーターは表舞台から外されるのだから。新聞各社のバランス感覚もなくなり、みんな小泉支持になった。マスコミの責任は大きいよ」

--日本経団連も小泉支持だった

 「現在の経団連は市場原理・市場主義で『大企業だけもうかればいい』という考えだから、小泉政治に大賛成なんだろう」

市場主義 経団連も小泉大賛成
国民に民族の覚醒呼びかけていく

--日本人が変わってきたのか

 「チャップリンじゃないが、発達した機械文明がもたらせた結果だろうね。視覚から受ける感性だけで物事を判断している。テレビ番組でも「○か、×か」と短絡的に聞くだろう。物事の本質について、背景まで探って深く考えることをしない。このままでは日本は確実に沈没する」

--今後、どうするのか

 「国会の中で是々非々でやっていく。首相の独裁強権的な政治手法や、日本経済を米国に売り渡すような政策には断固反対していく。そして、国民に民族の魂の覚醒(かくせい)を呼びかけていく。政治家の仕事は状況をつくること。このヒドイ現状をひっくり返すため努力していく」

民主とも政策次第で連携

--無所属の同志や民主党との連携は?

 「無所属の同志とは連携していく。民主党とも政策次第で是々非々で連携したい」

田中知事と考えは近いが…

--今回で本誌連載は一時休載となる

 「長い間、愛読していただき大変感謝している。国民の方々が覚醒していくきっかけを捕まえられると判断できたら、また紙上でお会いすることもあるでしょう」

※無断転載を禁ず

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