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平成19年2月13日 衆議院予算委員会 代表質問


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金子委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、亀井静香君。

亀井(静)委員 総理、あなたに野党の立場で質問することになろうと私は夢にも思わなかった。総理、もう小泉政治、こんなものとはさっさと決別して、本当に私は、あなたの思想、信条、御性格、かねがねすばらしいものだと尊敬しておる一人です。あなたの思想、信条、お人柄で政治をやられませんか。国民はだれも怒りません。みんな喜ぶんですよ。

 総理、あなたにはわかるはずだ。この日本列島の津々浦々から弱いうめき声が聞こえているでしょう。今また鶏の悲鳴さえ聞こえてきている。松岡大臣、あなたは閣内でも仕事ができるという評判の高い大臣だと私は思っています。しっかりやってくださいよ。

 総理、今の日本、本当にいいんですか。総理のお話を今までいろいろ聞いていると、バラ色のようなことをおっしゃっているけれども、今の日本は経済の面でもしぼんでいるんじゃないですか。六年前に五百十兆円の国民所得は、今五百三兆円になっているんじゃないですか。縮んでいるのは経済だけじゃない、人間の心まで。あなたの目から見てそう思いませんか、縮んでいっていませんか。また、国土だって、竹島は事実上韓国にやられ、尖閣列島も中国や台湾の遠慮会釈ない振る舞い、北方四島は漁船員が殺されるような事態まで起きていますね。

 経済もしぼみ、心もしぼみ、国土もしぼむ。あなたは小泉総理の負の遺産を負い過ぎている。私は、この際、いろいろなことを、もういい、謙虚に今の日本の状況を眺めて、あなたの信ずるところの政治をぜひともやってもらいたい。

 今、経済全体のことも言いましたけれども、日本人の精神状況はどうですか。これで本当に大丈夫なんだろうか。結局、幾ら機械化したところで、生産だって何だって最後は人間がやるものだ。この激しいモラルハザード。

 小泉総理も、目的のためには手段を選ばない、何でもやっちゃった。参議院、二院制まで否定するようなことまで、あの、アメリカから言われた郵政民営化を実現するためにおやりになったんですね。また、日銀の総裁なんて、庶民は利息ももらえない状況で、犯罪者と組んで巨額の富を得た、これは事実でしょう。後からもうけた分を返したといったって、そんなことがやられていいんですか。その席にとどまっておっていいんですか。あなたはそのままでいいとおっしゃっている。権力を握れば、富を握れば、もう、総理、それでいいんですか。

 今、テレビ時代で、トップリーダーのモラルハザードは茶の間を直撃しているじゃないですか。親子、兄弟、夫婦、殺し合いをやる。そんなこともかつてあったけれども、めったになかったことだ。今やもうニュースにも余りならない。今は女房とベッドインするのが怖いような時代になっちゃったでしょう。本当に冗談じゃなくて、そこまで夫婦のきずな、家族のきずなというのが信じられないような、こんな時代になっていること。

 我々政治がきっちりとせにゃいかぬ。私は、総理が心を毎日悩まされておられるということ、私にはわかるような気がするんです。改革、改革と言って、この六年間、日本はよくなったんですか、さっき言いましたように。そうでしょう。

 米俵百俵、財政が大変だ、我慢してくれ、それは結構な話。しかし、だれに負担を求めたんですか。人生の最後を迎えようとするお年寄り。若い者にもっと働けと言うのはいいんだ。そういう人たちに、年金、医療、介護、三点セットで。あそこに何で集中的な痛みを求めなければならぬのですか。

 総理も山口の地方からの声は届いていると思います。肩を寄せ合って生きていかなければ生きていけないような、この五、六年で十兆円以上の金を引き揚げましたね、地方から。仕方ないから町村合併。一緒にやれば面倒見る、総務省はそう言った。総理、去年の暮れに、私の選挙区の消えてなくなった町々が、今、広島県はほとんどないですよ、私のところ、三次、庄原、尾道、三原と、もう市しかなくなっちゃった。全部一緒になっちゃった。六区の町村長だけじゃありませんよ、広島県の町村長をやった人が集まって、飯食って、だまされたと。合併協議会で決めたこともやれない。今度の選挙だけは、総理、反自民でいこうと申し合わせしたというんですよ。地方改革、地方改革と言ったけれども、地方に痛みを与えてきた、これが実態なんですよ、これがね。

 改革には痛みを伴うというけれども、その結果が、せめて財政再建がうまくいっていればいいけれども、総理は国債依存度をことしは減らして編成されました。本当に御苦労だ。ただ、おととしです、去年は、二十兆円、政府の借金がふえているじゃないですか。この六年近くで五百三十兆の借金が八百兆に今なんなんとしよるじゃありませんか。何のためにお年寄りや地方の人は苦しんだんですか。

 改革といったって、郵政民営化が改革への一里塚だ、もうそれだけで、この間は私なんかもバッジをもがれちゃった。まあ余談になるけれども。刺客は送ってきたけれども、総理、あなたに責任があるかないかわからぬけれども、もうちょっとましな刺客を送ってください。女の心は金で買える、天皇制反対と堂々と言った人間を自由民主党は私に刺客として送ってきたんですよ。そんなことはまあどうでもいいけれどもね。いや、よくない、自民党がそこまでなっているということだからね。あなたもあのときは非常に苦しかったと思いますよ。

 しかし、民営化して何がいいことがあったんですか。何にもいいことないじゃないですか。もう明らかでしょう。郵便の遅配が起きる。そして、山の奥のお年寄りは本当に今寂しい思いをしている。経営だって混乱しちゃって、郵貯は減ってきているでしょう、どんどこ。日本に民営化しろと言ったアメリカは国営じゃないですか。こんなことを改革の一里塚だと言って、参議院まで無視をしてやってしまった政治、それを継承するというのは、総理、あなたにふさわしくない。本当にふさわしくない。今、安倍政治がどうも元気がないと言われているのは、これは当たり前なんだ。あなたが本心の政治をしていないから迫力がないんだ。当たり前のことだと私は思いますよ。

 今、イザナギ景気を超えるものだと言っているけれども、先ほど来もいろいろ質問が出ているけれども、国民大衆には何も関係ないじゃないですか。かつて岩戸景気、神武景気という時代があったんですね。あのときはみんな少しずつ懐が暖かくなったんです。今はそうじゃないでしょう。逆に、政府統計でも明らかでしょう。景気が回復してよくなっているんなら、消費がふえにゃおかしいんですよ、どう考えたって。ところが、消費は減っているじゃありませんか。消費が減っていくような経済で、上澄みの一部の人が自家用ジェット機を買おうが何をしようが、そういう人たちの消費で日本経済はもっていくんですか。中国やアメリカへの輸出、それも大事だけれども、内需をきっちり拡大していく。

 私は、総理の言っておられる成長路線、賛成ですよ。かつて小泉総理は、改革なくして財政再建ないとおっしゃったけれども、成長なくして財政再建ない、当たり前ですね。私は、それは正しいと思うけれども、しかし、この六年間で日本の経済構造も生活の仕方もがらりと変わっちゃったんですよ。だから、大企業が景気がよくなったって、みんなに及ばなくなっちゃった。

 総理、簡単に言うと、機関車と後の客車が切り離されちゃった。連結器が壊れちゃっている。機関車だけ、たたたたたっと行っちゃった。客車だけ取り残されているんですよ。そういう日本の経済がうまくいくはずがない。やはり総理、ここで、過去にとらわれないで、現実をしっかりと見詰めて、それに即した経済政策、社会政策をぜひやっていただきたいと私は思います。

 今の大企業、総理も心の中じゃ思っておられるでしょう。かつてマンハッタンのビルまで買収しようとした、事実上世界一の経済大国になったときの日本、あのときの経済構造と今、どうですか、同じですか。当時は、下請、孫請、護送船団方式なんて悪口をアメリカが言ったんだけれども、アメリカは意図的に言っているんだ、日本をぶっ壊すために。そうでしょう。それを大事にしながら、そこももうけさせながら従業員も豊かにしていく、その中で利益を上げていくというのが経営者の生きがいだったんじゃないですか。そういう経営者が世間から立派な経営者だと言われたんでしょう。今はどうですか。偽装請負をやった会社の会長か社長か知りませんが、経団連の会長をやり、ピンはねをしていくことを奨励するようなことを経済界のトップが言っていますね。総理、じっくり話されたことがありますか、経団連の会長と。ぜひ話してみてくださいよ。

 そんなことで日本はいいんですか、簡単に言うと。我々、資本主義経済でずっとやったわけじゃない、しかし、何千年の営みの中で我々がやってきた生活の仕方、それを急に、ここに来てアメリカ流の経済に変えていかなければならぬ理由があるんですか。神のお告げですか。そんなことは私はないと思いますよ。我々日本人には日本人としての生き方があるはずだ。それを離れて、よそのまねをして、当面はいいかもしれない、生きていけるはずがないということは、これはだれが考えたって当たり前のことだと私は思いますけれども、今はどんどんそう行っていますね。

 総理、私はぜひ、もう下請、孫請、余りにも今ひどい目に遭っている。ちゃんと、もうかったら、果実は、よき日本の伝統に従って、下請、孫請におすそ分けしてやったらどうですか、報賞金とかいうような形でも。これはできるはずですよ。税制上のいろいろな問題はあるけれども、これはできるはずだ。従業員にも分けてやったらどうなんだ。

 今は労働組合が骨抜きになっているから経営者が自由自在にやっているという面もあるけれども、何で、もうかっているのに正社員をどんどんパートやアルバイトに切りかえていくんですか。かつてそんなことはなかったでしょう。松下幸之助さんにしても、そんな経営は絶対許さなかったはずですよ、どこにしても。

 ところが、今そんなことばかりやっているじゃないですか。そうして、正社員が従業員の三分の一、同じ仕事を半分や三分の一にしてコストを下げていくというようなことをやっているんでしょう。これは長続きするはずがありませんよ。そんなことをやって、パートが都合がいい、アルバイトが都合がいいと正社員をどんどんどんどん減らしていって、会社経営というのは本当に成り立つんですか。

 よく総理は再チャレンジということを言っておられますけれども、正社員からパートにけ落とされた者がどうやって将来重役や社長になっていけるんですか。いけるはずないじゃないですか。熾烈な社員同士の頑張り、いい意味の競争の中で、そうして幹部も育っていったんでしょう。

 今のように、人間を人間として大事にするんじゃなくて、安く物をつくる道具だと。それを残念ながら自公政権は推進しているんでしょう。柳澤大臣が本当に気の毒だ、この間から見ていると。一人であなたがやられまくっているけれども、あなたの言ったことはよくないに決まっている。しかし、柳澤発言というのは、たまたま大臣だけが悪くて言ったことじゃない。今の、人間を道具にしたらいいという世の中の風潮、自公政権のそういう政策の中でぽろっと出てきた話でしょう、こんなものは。

 総理、私は本当に事態は深刻だと思う。やはりここで、我々が、日本人がどういう生き方をしていけば本当に幸せになれるのかという、その原点を押さえた上での経済政策、社会政策を私はぜひやってもらいたいと思います。

 あなたにいろいろ申し上げたいことがあるんだけれども、私が一方的に言っているのは、あなたが私に答弁をしても、本心の答弁ができないのがわかっているから私は言っている。そんなの聞いたってしようがないから、私は一方的に言っている。いいですか。

 それと、競争、競争でしょう。それは資本主義社会だから、競争するのがある面では当たり前。しかし、それは、みんなで助け合いながら、みんなで幸せになっていこう、そういう中での競争をやってきたんでしょう、日本は。今はひどいんじゃないですか。バランスを崩していますよ、競争すればいいと。終点が百メートルなのか一万メートルなのか、マラソンなのかさっぱりわからぬで、ただ走らされているだけ。その後来る社会が、どういう社会になるんですか。

 今、新聞やテレビでは、談合摘発だ、談合摘発と出ていますね。それは、一部の者が不正に、本来安くできるものを高くやって不当な利益を得る、そういう談合は徹底的に摘発せにゃいけませんよ。

 しかし、バランスを失していると私が言うのは、総理、今どうなっているんですか。一億円以下の小さな工事を東京に本社のあるスーパーゼネコンがどんどんとっているじゃないですか。そして、地場の中小零細の企業は、哀れ、下請で細々とやる。どんどんやめていますよ。私なんかの地元でも建設会社はどんどんやめている、やっていけないから。ばらで競争、競争というだけをやらせた場合には、力が強いのが勝つに決まっている。北海道で損しても、九州で得すれば、社としてはバランスがとれる。ところが、北海道の業者はそれができますか。そういう現実の中で、今のような行け行けどんどんをやっている。

 もう国交省まで、冬柴大臣、怨嗟の的ですよ。そうでしょう。ふるさとをつくるために、ノウハウの違う、大きいところも小さいところも集まって、一人の者が仕事を独占しないように、みんなで話し合いをして分担して郷土づくりするのが、どこが悪いんですか。それで、役人がアドバイスをすると官製談合というおどろおどろしい名前をつけちゃって、けしからぬ、けしからぬ。

 では、どうしたら、私が言いましたように、小さいところもそれなりに郷土づくりに参加をしていける。金が全部東京の金庫に入って、東京だけが、銀座でこじきをしておっても糖尿病だという、東京だけ結構なところにならないで、地方がそれなりに生きていける状況にしていくのには、今のようなことをやっていていいんですか。

 総理、今、国民新党で、談合と言われるそういうものにかわる透明な公正な発注、受注の仕組みというのはつくれないものか、研究して、勉強しているところですよ。だけれども、資料なんか見ますから、総理、国交省あるいは総務省、法務省に、そういうことで国民新党が協力を求めたら、するかどうか、ちょっと答えてください。総理の立場から、国民新党に協力してやれと言えるかどうかということを、言えなければいいよ、それで。(発言する者あり)そんなことないよ。

 だから、我々は、このままでは日本は一部の力の強い者によって全部支配をされちゃう。それを理屈で言っているときじゃない。それにかわる新しい何かの仕組みをつくらないと、毎日毎日倒れていっているんですよ、中小企業。だから、その仕組みを我々がつくると言っているんだから、野党だって協力してやれと言ってくれれば、一生懸命やってくれる。でないと、自民党が怖くてやってくれないかもしれないだろう。

 どうですか。答えなければいいよ、答えなくても。

安倍内閣総理大臣 私の尊敬する大先輩の御質問ですから、ぜひお答えをしたいと思います。

 官製談合の問題、こうした談合は根絶させなければならないと思っています。そのために、もし亀井先生、また国民新党でいい案があるのであれば、ぜひ提案をしていただきたいと思います。

亀井(静)委員 ありがとうございました。我々も一生懸命取り組みますから、ぜひ政府の皆さん方も協力をしてください。資料を隠したりなんかしないで、しっかりと協力してください。

 今、国交省の佐藤君が本当に苦労していますよ。怨嗟の声が国交省に行っちゃっているんだ。自民党から出たので本人はその点悪いんだけれども、かわいそうじゃないですか。

 だから、そういうことはもういいけれども、ここで、総理、力が弱い者が一生懸命生きていこうとした場合、やはり、せめて手がかりぐらいは政府の責任においてきっちりつくっていく、自己責任だとかなんとか言わないでということを私はぜひお願いしたいと思う。これは答弁は結構です。

 私は、こうした日本をきっちりとしていくには、総理を初め、政党、必死になって頑張らにゃいかぬと思うんだけれども、それだけではなかなかうまくいかない。国民全体の協力と努力が必要ですね。宗教団体、精神修養団体、いろいろありますね。こういうところの、やはり何を考えているかというところをしっかりと政治が酌み取っていくということは、私は今ほど大事なときはないと思う。

 いろいろ宗教団体ありますよね。既成宗教と新宗教では、辯天宗とか、あるいは妙智会、あるいは立正佼成会、創価学会、いろいろあります。神道系なんかまた本当にたくさんありますよね。真光、天理教、金光教、あるいは天照皇大神宮教、大本、また、八大龍王神八江聖団というのが北海道にあります。これまた宗教団体じゃないけれども、精神修養団体、あなたも指導を受けていると思うんだけれども、実践倫理宏正会、すばらしい活動をしていますよね、私も指導を受けているけれども。あるいは一燈園なんというのがありますね。

 こういう宗教団体や精神修養団体がやはり一緒になって立ち上がっていかなければ、この日本、なかなか私は救われないと思う。そうした団体の意見をどう酌み上げていくか。

 創価学会が、公明党を通じて政権に対して自分たちの考え方を反映してもらおうというのは、当たり前だと私は思いますよ。ただ、問題は、それを政府・自民党がどう受けとめていくかということなんです。残念ながら、今見ておりますと、創価学会と公明党、自民党、政府の関係、ちょっと国民もおかしいなと思っているんじゃないですか。

 だって、そうでしょう。創価学会員は、平和を願い、庶民の生活を守ってほしいと。冬柴さんがいらっしゃるので私言いにくいんだけれども、公明党は、イラク戦争を支持しているじゃありませんか。また、庶民への負担増を、あっという間に自民党に同調して、支持しているじゃありませんか。

 逆に、自民党は、教育基本法については、あらゆる宗教団体、圧倒的な声を無視しちゃって、創価学会のおっしゃるとおりの教育基本法を強行採決までやってつくったじゃありませんか。――ちょっと待ってください。あなたに質問したんじゃない。

 そういう中で、いいですか、しかも自民党は、私のかつての住みかですけれども、選挙で公明党、創価学会に丸抱えになるからといって、今どうですか、本当にひどい状況じゃないですか。だって、自民党への復党問題まで公明党が堂々と横やりを入れているじゃないですか。こんなことは普通あることですか。(発言する者あり)ちゃんとこれは堂々と公明党が出しているじゃない、何言っているの。復党について反対しているでしょう。

 それと、いいですか、総理、選挙協力と称して、自民党が候補者を出しているところに、出していないところなら別ですよ、出している比例区に公明党、公明党と言う。言っているじゃありませんか。今度の選挙でまたやるんですか、それを。我々野党は選挙協力しますよ。しかし、自分の党が候補者を出しているところに、よその党を応援してくれなんて、そんな破廉恥なことはようやりませんよ、我々は。だけれども、自民党はそれをやるじゃないですか。そういうことは政党としてあっていいことですか。政党政治の堕落じゃないんですか、これは。だって、候補者を立てているんですよ、自民党が。おるのに、ここは公明党をというようなことを、こんなことを政党がやっていいんですか、選挙協力だといって。

 私は、これはまさに政党政治の自滅だと思う。こうなったら、総裁は怒るかもしらぬけれども、いっそ、もう公明党に自民党は吸収合併されたらいいんだ。その方が国民からわかりやすいよ。(発言する者あり)失礼だって、本当にそうだからしようがない。おかしいじゃない、今あったら。だって、自民党の候補者がおるところを、公明党をやるやれとかどうだとか、前小泉総理が解禁したんですよ。それをやったっていいということを解禁したんですね。

 だから、私はここで総理にお聞きする。今度の参議院選挙で自由民主党は公明党との間でそういう選挙協力をおやりになるんですか。答えてください。

安倍内閣総理大臣 どういう選挙戦略を行うかは、これは自由民主党の問題であって、本来ここでお答えすることではない、こう思いますが、当然、我々は、次の選挙においては、自民党としての選挙公約を掲げて戦っていきたい。そして、当然また、自民党、公明党で与党を組んでおりますから、与党の公約を掲げていく、与党の公約と自民党のマニフェスト、これを同時に国民の皆様に訴えてまいりたい。友党関係にありますから、選挙の際は協力関係を構築していくのは当然のことではないかと思います。(冬柴国務大臣「委員長、委員長」と呼ぶ)

亀井(静)委員 あなたに聞いているわけじゃない。

 今、総理からの答弁、本当にその答弁でいいと思われますか。日本は政党政治でやっているんですよ。だから、私の質問時間だって五十分でしょう。質問時間だってほとんど小党にはないんです。党を中心に運営をされているわけでしょう。

 その政党政治下における選挙において、何度も私は申し上げるけれども、候補者を立てていないところで協力し合うのは、何ということはない、政策を中心にやる。立てているところで他党の候補者をやってくれというようなことを言うのは、選挙民を愚弄しているじゃありませんか。違いますか。もう一度答えてね。

金子委員長 冬柴国土交通大臣。

亀井(静)委員 私、指名していないよ。まあ、いいよ。どうぞどうぞ。

冬柴国務大臣 先ほどから、公明党、公明党と、いろいろな言葉が出ておりますので、私も公明党員でございますから、お答えをしなきゃならないと思います。

 選挙協力、これは政党間でよく話し合って、そして我々も応援すべきだと思う人は応援します、しています。そして、我々に応援をしてあげようという人には我々も感謝します。そういうことで自公連立が成っているんじゃないですか。我々は、政党だけではなしに、私どもを支援していただく方にもよく相談をし、そしてその人たちの意思を集約して政治決断をしているわけでありまして、そういうふうに言われることはないと私は思います。

 それから、先ほど来、公明党が何か国家を壟断しているような趣旨の話までされましたけれども、とんでもない話ですよ。私も亀井先生は大変尊敬する政治家の一人ですけれども、なぜそういう、その立場になったら言われるのか、本当に私には解せません。本当に私は誠心誠意、亀井先生ともおつき合いしていて、そういう、私どもが無理難題を自民党に押しつけ、そして自民党が、あたかも選挙で応援してもらいたいからそれをのんでやっているような趣旨としかとれないような発言をされることは全く心外でございまして、私は、公明党は断じて、庶民のため、そして平和のため、一生懸命やっています。

 そして、イラク戦争を是認したではないかと。私は、イラクの人道復興支援のために一生懸命自衛隊にやっていただいたわけでありまして、平和の問題であります。私どもは、十分に党員、支持者の方にも納得をしていただいて、我々は政治決断をしているわけでございまして、国連の安全保障理事会決議に基づいて、国家として自主的、主体的、積極的に行ったものに対して、あたかも派兵をしている、戦争に行かせるような趣旨の発言は、私は受け入れることはできません。一部政党がそのように言われることは、私はもう反論もしませんけれども、亀井先生からそういうことを言われるというのはまことに心外でございます。

 いろいろ言いたいけれども、これぐらいにしておきます。

亀井(静)委員 別に、私は冬柴大臣に答弁を求めたわけじゃありませんが、大臣、そうおっしゃるけれども、選挙協力の実態が、今申し上げましたようにバーターでなされているということは国民周知の事実じゃありませんか。これは違う違うと言われても、これは周知の事実。

 それと、具体的に言いますと、大分県で復党問題について公明党が堂々と、それについてだめだと言ったのは事実でしょう。違いますか。だから、冬柴大臣、そう無理な答弁をされないで、ひとつ、やはり公明党としては、創価学会員の切なる平和への願いとか庶民の生活を守るとか、そういう立場に立って、やはり自民党に対しても、だめなものはだめだということを、また、やるべきことをやれということを言ってやってもらう、私はそういう期待感があるけれども、最近の状況を見たらそうじゃないから、あえてこういうところで申し上げている。いいですか。

 それで、これは、とにかく次の参議院選挙で明らかになることなんです、全国的に。だから、国民は注視をしていますから、総理、いいですか、政党政治の上に乗っかっている議会制民主主義である以上は、そうした政党のあれを無視した、当選するために便宜がいいというだけでの、そんな国民を愚弄したことをおやりになった、その数の上で政治をやろうと思われましても、これは絶対大敗北を喫しますよ。申し上げる。

 もう時間がありませんので、次に移ります。

 総理、池田大作名誉会長に、あなたは去年の九月ごろ、お会いになりましたか。

 お会いになったっていいんですよ。池田名誉会長は世界の第一級の人たちとどんどん会っておられますね。そういう人物と一国の指導者がお会いになるというのは当たり前の話です。これは、池田大作会長だけじゃなくて、ほかの宗教団体のトップだって同じことです。私は、それはいかぬと言っているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、お会いになっているということを読売も書き、毎日も書き、日本経済新聞も書いているでしょう、具体的に。それで、予算委員会で総理は、いや、会ったことはないということを執拗に否定をしておられる。国民は、総理が何かうそを言っておられるんじゃないか、隠しておられるんじゃないか、そういう大新聞が全部報道しているんですから、今そう思っているんですよ。

 だから、私は、お会いになられたことは、もうお会いになられていいんです、何も悪いと言っているわけじゃない。しかし、こういう状況だと、創価学会と一国の総理との間に何かやましい関係があるんじゃないか、隠さにゃいかぬ関係があるんじゃないか、そういう疑心が生まれる危険性があると言っているんですよ。だから、私は、お会いになられたら、率直にお会いになられたということをおっしゃったらいいと思いますよ。どうですか。

安倍内閣総理大臣 私が敬愛する亀井先生とは思えないお言葉だと思います。

 まず、自民党と公明党との関係でありますが、いわゆる復党問題について、公明党からまた我々が言われて判断をするということはないし、事実、私は全く復党の問題について公明党の方々から何か意見を言われたことはないということは、まずはっきり申し上げておきたい。今後もそれはない、公明党の皆様から意見を言われるということも恐らくないでしょうし、その意見によって私が判断するということもないわけでございます。

 また、自民党と公明党は、両党連立政権を組むに際しまして政策協定を結んでいます。いわば、政策をしっかりとお互いに示しながら、協定を結んで、国民の目の前で、わかりやすい連立政権を組んでいるということは申し上げておかなければならない。

 そしてまた、選挙においては、これはやはり選挙において友党であり政権をつくっている連立の政党同士が協力するということは当然のことであろう、そしてその中でも、国民からあらぬ疑いを持たれたり非難を受けることのないように節度ある選挙協力を行ってまいらなければならないと思います。

 もちろん、連立政権を組んだ当初は、これは当初ですから、いろいろありますよ、それは政治の世界ですから。それはもう亀井先生も御承知のとおりだろうと思いますよ、亀井先生も自民党におられたから。しかし、だんだんこれは成熟をしてきて、成熟期に入ってきている、私はこのように思います。

 そしてまた、政策においては、自民党は単独の政権ではありません。それは参議院において我々は過半数を割っておりますから、それが民意といえば民意なわけでありますから、そこで我々は連立政権をつくっているわけであります。自民党の意見は一〇〇%通らない、もちろん公明党もそうです。その中で、お互いに政策において協議をしながら、時には激しい議論をしながら、政策をつくっていくわけでございます。

 ですから、これは教育基本法においても自民党と公明党で長い間相当の議論を繰り広げました。大島先生が大変な御苦労をされてやっとでき上がったものでありまして、もちろん自民党が一〇〇%これだったらという最初の望みどおりにはいきませんが、それはやはり、国民が民意として今の連立政権ということになっているわけでありますから、その中でできたベストではないか、私はこう思っているところでございます。

 そこで、池田名誉会長と私がお目にかかったかどうか。これは、もう既に委員会で申し上げておりますように、お目にかかったことはございません。

亀井(静)委員 時間がないのでなんですが、総理、では、なぜ、教育基本法なんというものはもう本当にできて以来初めての改正でしょう、そういうものを、ほとんどの宗教団体が賛意を表していない、反対をしている、野党が反対をしている状況の中で、しかも、自民党が長い間党内で練りに練ってきた案、それとも違う、連立を組んでいる公明党が言っていることにああいう形で妥協というかして、強行採決までして、何でおやりになったんですか。それは、時間をかけておやりになればよかったことでしょう。これ以上のことは水かけ論だから言いません。

 それともう一つ。今、復党問題について、そんなことはない、それは自民党の方から言ったわけじゃなくて、公明党の方からそれは復党させてもらっては困るということを言ったんでしょう。正式でしょう、これは。新聞にもたくさん出ていますよ。大分県連がやったんでしょう。大分県連、やらなかったんですか。やっているでしょう。

 それと、今、総理が会ったことはないとおっしゃったんだけれども、それでは、官房長官……(発言する者あり)うるさいね。いいですか、一国の総理がうそを言っているのかもしれない、そういう状況に立たされているときに、それは読売であろうが毎日であろうが日経であろうが、あんなにでかく報道されちゃっておる、それについて、間違いであるのなら記事の訂正あるいは法的措置をやられたんですか。どうぞ、官房長官。

塩崎国務大臣 ただいまの面会をしたかどうかという報道は内閣としての問題ではないと思っておりますので、内閣として動いているわけではございません。

亀井(静)委員 内閣で動いていないという。あなた官房長官でしょう。だって、総理たる安倍晋三の行動について国民から疑念を持たれているときには、それを晴らしていくのが官房長官の立場じゃないんですか。そんなことをする必要はないんですか。では、官房長官は何をやるんですか。総理の汚名を晴らしていくとか、それは官房長官が適切にやっていくべきことでしょう。やらなくていいんですか。だって、総理のときにお会いになったんでしょう。

 もう一度、答弁。官房長官。

塩崎国務大臣 新聞に取り上げられている件は、安倍総理が総理になる前の話でございます。

亀井(静)委員 総理になる前とかなんとかおっしゃるけれども、国民はまさに、なられるのは決まっているわけだから、一体として見ているんですよ。そういう場合に、総理におなりになる、私はいつ会われたかわからぬから言っているんですよ、なって会われたのか、その前か、わからないから。そういうこと全体の国民の疑念に対して、きちっと措置をするのが官房長官の仕事じゃないの。それを全然ほっておいていいの。もう一度。

安倍内閣総理大臣 まず、亀井先生が汚名という表現を使われましたが、これはやはりおかしいのではないですか。私は、それは全然、別に汚名だとか侮辱されたという感覚は全くございません。

 そして、そこで、新聞報道について、私は、この報道は誤りだ、明らかに違うことというのは随分ありますよ、それは。それは亀井先生だってそうでしょう。新聞報道とか週刊誌が本当だったら、亀井さんは今ごろ大変なことになっていますよ。それは違うんですよ。だから、私も一々そんなことで法的手段に訴えたり、そういうことはいたしません。

亀井(静)委員 総理、そう興奮しちゃだめですよ、一国の総理が。

 私が汚名と言っているのは、いいですか、池田大作名誉会長とお会いになったことが恥ずかしいことだ、いかぬことだと言っているんじゃないですよ、最初から言っているように。それはいいことだと言っているんです。ただ、そういうことを、新聞はお会いになったということを言って、書いているのに、自分は会っていないというようなことをおっしゃるのは、うそつきと思われる汚名なんですよ。これほど恥ずかしいことはないよ、そんな、疑われるということは。恥ずかしいことで、総理がそういうことを隠しているということを国民から思われることは汚名ですよ。

 そのあたりのことは、あなたはきっちりする気はないんですか。今後ともそういうことでおやりになるんですか。

安倍内閣総理大臣 私が否定したのは、その報道があって後ですね。ですから、その報道を私が否定したわけですよ。その私が否定したことを別にうそつきだという報道はなされていません。ですから、一々それに私が法的な対応をとるということでは全くないと思います。

亀井(静)委員 総理、あなたは私との間では、もう時間もないから、これはしのげるかもしらぬけれども、国民全体が、なぜそういうことを隠しているんだろうかという疑心はずっと引き続いていく。だって、そうでしょう。一社じゃないでしょう、多くの新聞が克明に書いているんでしょう。では、それなら法的措置をとればいいんです、記事訂正を申し入れすればいいんですよ。

 私なんかだって、ありもしないことを言われたら、私は法的措置をどんどんとっていますよ。それで私は賠償金も取ったし。それが、政治家は、自分の、個人の気が済む済まぬの話じゃなくて、国民との関係においてはそういうことを明確にしていくのが政治倫理でしょうが。そうでしょう。

安倍内閣総理大臣 私は委員会でも申し上げているんですから、これ以上のものはありません。それと、総理たる私が一々マスコミ等を訴訟する、いかがなものかと思います。

 ですから、それは多くの週刊誌に勝手なことを書かれていますよ、事実と全く違うことを。しかし私は、今権力の頂点にいる、行政のトップとしてですね、そういう訴訟を一々するべきでない、このように考えています。

亀井(静)委員 もう時間がないので終わりにしますけれども、政治と宗教との関係というのは、やはりお互いに神経を使いながら進んでいかなきゃいかぬ問題ですよ。総理もその点、よくおわかりでしょう。

 そういう観点からも、やはり、一国会議員なら別として、総理たるものはそのあたりのことをきっちり配慮していって、一点の疑念も国民から持たれないようなことを私はやっていってもらいたい、このようにお願いします。

 はい、時間がありません。

金子委員長 これにて亀井君の質疑は終了いたしました。

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