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衆議院永年勤続表彰を賜り、功無きを恥ず

 本日10月22日衆議院本会議場におきまして、議員在職25年の永年勤続表彰を賜りました。「25年功無きを恥ず」との心境から些か複雑な思いもありましたが、これは私本人にでは無く、それこそ「がらくた」の如き私を落選必須と言われた初出馬より25年間一度も落選させず、支えて下さった郷土の人々と友人・知人、そして今は亡き恩人の多くの方々に対する感謝状に他ならないと思い、また私が突然無謀な決意をした日から、ボロ雑巾のように働いて支えてくれた妻と共に有り難く頂戴することにした。
 初当選させて頂いて25年の節目を迎え、感謝の念とまさしく大きな曲がり角に直面している今の日本をこのままの状況で見過ごしていてはならないとの思いで一杯であります。「功無きを恥ず」などといっている場合ではない。私を永きに亘り支えてくれた方々のご恩に報い、「美しく力強い日本」を創建するために、政治家としてあらためて決死の覚悟をしなければとの思いであります。
 景気は好転しているという政府の見解はほんの一部の大企業や大都市を指しているもので、むしろ市場原理万能、競争原理至上、こうした空気が日本の社会を覆ってしまった結果、日本経済の空洞化は残念ながら着実に進み、中小企業・零細企業・商店は日に日に追い詰められ、地方、農村、漁村は厳しい状況であります。昨年の自殺者数は一昨年のそれを7%上回り、相変わらず1日に100人もの人が自殺に追い込まれていく現状は、経済的な理由ばかりでは無いにしろ、看過出来るものではありません。
 米国流の合理主義・競争原理を優先させた結果、強者を益々強くし弱者は切り捨て消滅させていくことに何の疑問を持たず、「他人はどうであれ、自分さえ安全であれば良い」という心の有り様が蔓延しているのではないか。先人達が培ってきた日本の美風、「鎮守の森」を中心に助け合う精神、ある意味での無駄も包括する大らかさ、逞しさを忘れつつあるのではないか、日本人の魂が萎えてしまったことがこの現状を生んでいるもっとも大きな原因であると思うのであります。
 政治家としてこの現状に直面し、無為でいるわけにはいきません。将来を展望し、国民にとってよりよいシステムにする改革は勿論私も賛成でありますが、現在進められている郵政民営化、三位一体改革は、ともすると弱者に配慮しないシステムになりかねない危険性も含んでいます。にも拘わらず、民主主義を無視し充分な議論をせずに「改革ありき」を前提に推し進めることは是認出来ません。「何のための改革なのか。改革の結果どのような国家の姿があるのか。」これらをはっきり国民に示し共有することは、国民の代表として施政を預かる我々政治家の義務であります。例えば不採算地域にも網の目のように張り巡らされ、お年寄りや過疎地の拠り所となっている郵便局網をどうするのか、我が国の全預金の凡そ4分の1を占める郵貯及び簡保の資金は、国家・国民にとって有益な事業を行う国家財源の原資となっており、これらの財政投融資が全て無駄と決めつけ民間の競争市場に委ねてしまって国家の財政はもつのか。
 地方に権利を委譲するのはいいが、国家の根幹となるべき教育や、自然環境の厳しい日本列島において災害に対する公共事業、狭い国土を充分に活用するためのインフラ整備及びライフライン整備等の社会資本整備はどうするのか。これらは国が責任を持って行わなければならないと考えます。中央が集約してあらためて個々の地域や人々、殊に弱者に配慮し不公平にならないよう分配することはやはり共助のシステムで、継続が必要です。どのように国と地方が分担するのかを明確にせずに補助金を削減し権限を委譲すれば地域によってバラツキや不便さが生じるのではないか。それで本当に地方経済や各自治体の活力は保てるのか。私は地方分権化に反対ではなく、もっと大きな括りの道州制を導入すべきと考えております。
 イラクの問題も充分な法整備をせず、他国の軍隊に護られながら復興支援をするという屈辱的な状況で自衛隊を派遣し、その法案を通した大義も今や砂上の楼閣であるのに、更になし崩し的に継続させるというのは如何なものか。日本が世界の平和のため責任を果たすのであれば、ただアメリカに追従すれば良いのではなく、間違っているのであれば正した上で、イラク国民の幸せのためイラクの復興支援に最大限の努力をするべきではないか。又北朝鮮への対応も、我が国が自ら北朝鮮の脅威(ミサイル)に対して防衛システムを配備した上で交渉を進め、場合によっては経済制裁を行うべきであると考えます。
 これらの問題のみならず、経済、社会保障問題、教育、外交、防衛の全てにおいて緊急を要する問題は山積しております。「21世紀の日本のあるべき姿」を示し、またどのように世界の国々に対して責任を果たしていくべきか舵取りをする正に正念場であります。
 件の苦労をかけた妻に本会議場で受賞の際、感謝の投げキッスを送りながら、選挙区の方々、私を応援して下さっている全ての方に心からの感謝を捧げ、更に国家国民のため尽くし、日本をきっちり方向付けるため今後の人生の全てをかけて邁進する覚悟をあらたに致しました。

ここにご報告申し上げ、併せて一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2004年10月22日 亀井 静香

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