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新しい年を迎えて

 皆様にはお健やかに新年をお迎えのこととと存じ上げます。
 ここに謹んで新春のお慶びを申し上げ、併せて旧年中賜りましたご懇情に衷心よりお礼申し上げます。
 また昨年は突然の解散にも拘わらず、多大なご支援と国民新党結党に際しましてもご尽力を賜りまして心より深謝致しております。
 議会制民主主義化に於いて、あってはならないことながら小泉総理のルール違反、強権による解散総選挙でありましたが、新党での新たな出発をするべく政治家として原点に返る思いで、初出馬の折のように自らの選挙区を隈無く廻り、行く先々で変わらぬご支援の温かさに勇気づけられ、堅固な絆の深さを改めて痛感致しました。また選挙区以外でも温かい激励を頂き、有り余るお力を賜りました。お陰を持ちまして自身の連続10回目の当選と比例に於いて国民新党2名の当選を果たすことが出来ました。皆様より大きなご支援を賜り政治家として正に身が引き締まる思いです。
 さて小泉総理が誕生して4年、人間の幸せとは何かと云うことを全く考えずに改革と称して強引に破壊を進めた結果、国民所得は510兆円から506兆円に低下、反対に財政赤字は500兆から700兆円に膨らみました。そして完全に国家自身が縮み、効率至上主義、市場原理万能主義が蔓延り我が国のDNAみんなで助け合いながら生きていくという生活文化、価値観が急速な形で破壊されてしまったことは、今日の異常事態をみても明白であります。
 一部の大企業が活況を呈し、地域的には東京など一部の大都市のみ振るう反面、地方や中小零細企業はカラカラに乾いております。にも拘わらず、平成18年度予算は5年連続超緊縮予算が組まれ地方交付税は一兆円近く減額され補助金の減額など地方への厳しい締め付け予算で、かつ税制や各種の個人負担も増額し中間層以下に強い負担増を強いる内容となっており、所得と地域の2極分化が強く進む状況であります。政治がかつてのように北海道から沖縄に至るまで都会も地方も共にあらゆる仕事をしている人たちが幸せになることを目指した姿は現在は一欠片も残っていないのは誠に残念であります。
 小泉総理が主張された改革の中身は財政出動を抑え、国家として地方や弱者に対してするべきことを放棄しているのにも拘わらず、「小さな政府」を礼賛するのは如何なものか、国民に支持されるのは、「改革」という美名のせいでありましょうが、結局破壊でしかない改革は一部の強者を除いて大多数の国民が苦しめられことになっております。
 2極分化が進む中で強者の論理が進行する社会の中では必然的に社会はアメリカに見られるような犯罪に移行せざるを得ず、此の4年間の日本は正に急激で異常な状況に陥っており、幼気な抵抗できない幼児達が年上の欲望の犠牲になっていく状況は政治や経済に於いて、権力や富をルールを無視してその力を自由奔放に振る舞うことをはやしたてる風潮と決して無縁ではありません。国権の最高機関に於ける状況が国家・社会に大きな影響を与えることは当然の現象であります。現在我々が日本の歴史上かつて身を置いたことがないグローバリゼーション「改革」という現象に身も心も病み冒されている事を自覚しなければ、この地球上で我が国がアメリカの極東に於ける軍事基地の島々に過ぎない状況になるであろう事は想像に難くありません。我が国の民族が幾多の困難を乗り越えアメリカを凌ぐ世界第一位の経済大国となり得たのはひとりひとりの人間を大事にしていくという日本人本来の生活習慣、経済活動が基盤にあってマンパワーを爆発させた結果であることを忘れてはなりません。
 現在の学校・社会・家庭での教育が知識教育のみ行われていることは、人間形成に於いて基本的な情操を失った、頭でっかちの各種の技術のみ長けた人間の社会を生み出していくことにしかなりません。文化庁の努力にも拘わらず、文化が形骸化して歌舞伎や能等伝統芸術に於いても精神的な部分をくみ取り生活の中に生かすということがなく、単なる観劇や催しに過ぎなくなりつつあることは残念で、文化の死滅が起きております。芸術・文化・産業が融合した社会でなければ、健全な社会とは云えません。
 安全保障に於いても国家の安全保障は世界の国々と、とりわけ近隣諸国との友好関係を増強することに勝るものは無いにも拘わらず、現在は隣国の首脳同士と話し合いが出来ないという、歴史上あまり例を見ない酷い状況であります。他国の理不尽な対応がそうゆう状況を生んでいる原因のひとつであるけれども、我が国サイドからの現在の対応が十分であるとは云えません。米安保のみに依存しようとする姿勢が外交の硬直化を生んでいると考えられ、我が国を守るための毅然とした努力と共に相手国の理日解を得る、我が国独自の努力が必要であります。
 私の衆議院本会議場での座席はかつて中野正剛が座っておりました。東条英機首相の独裁政治に三木武吉、鳩山一郎と共に抗議して一人割腹自殺をしたその人であります。朝のこない夜はない、いつか国民が目覚めると信じております。
 今後も小泉総理の弱者・地方切り捨て、独裁強権的な政治手法や日本経済をアメリカに売り渡すような政策には断固反対していきます。そしてもっとも重要なのは国民に民族の魂の覚醒を呼びかけること。政治家の仕事は状況を作ることです。この酷い状況をひっくり返す為、今は理解されなくとも私は日本民族の良心を信じて、歴史に恥じないよう旗幟を鮮明に行動していく所存であります。
 私を必死で応援してくださった方々の思い、国民新党へのご期待を胸に、更に昨年秋の永年勤続表彰を賜った際衆議院に送付した「功無きを恥ず、今からの生き様で総括する」を思い返し、輝き溢れる日本の夜明けを迎えるため「全ての国民が幸せだと感じられる国家、人間ひとりひとりを大切にする社会構造」を目指して突き進んで参ります。
 年頭にあたり一層のご指導をお願い申し上げ、併せて皆様の益々のご健康とご多幸を心よりお祈り致しましてここに新年のご挨拶を申し上げます。

友情の深き絆を導にて 荒海怖れず船を漕ぎ出でる

2006年1月4日 亀井 静香

※無断転載を禁ず

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