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連立離脱、郵政の未来と政治のあるべき姿

 

民主党執行部は反対多数の声を無視し、2年半前の政権交代で国民に約束した公約を反故にしてまで消費増税のための法案提出に向けて閣議決定を優先した。 本日、野田総理に 「 国民新党は連立を解消し、政権より離脱する。」と通告した。

長引くデフレ状態の中で東日本大震災に見舞われるという、正に苦境の直中にある我が国が危機を突破するためには増税の前に政治がやるべきことは山ほどある。台風の最中に運動会の準備より先ずは傘が必要なのだと私は主張してきた。連立合意でも消費増税はしないと明記しており、これは国民との約束でもある。政治の都合で国民を裏切ることは許されない。

わが党結党の緒である郵政改革は私が郵政大臣として提出した法案を引っ込め、名誉も名も捨てる覚悟で公明党に託した結果、お蔭を持ち議員立法で今国会成立の見込みがついた。前回の衆議院選挙で郵政民営化反対を牽引してきた綿貫民輔代表、亀井久興幹事長、また翌年の参議院選挙で長谷川憲正副幹事長がバッジをもがれる中で死闘6年半、針の穴を通すような作業の末に満足とは言えないながらも肩の荷がおりた心地である。

アメリカの意向に添った小泉総理の暴挙とその後の政治動向により歪められてしまった郵政事業を今後しっかり立て直すのは、日本郵政の齊藤社長の手腕と社員を始めとする郵政関係者の努力次第である。法案成立後は日本を支える有数の会社である誇りを持ち一丸となって事業の立て直しを図って貰いたいと切に願う。

現在の日本は私が政治を志した当時よりも悪くなる一方だ。ダムの予定地であった寒村の貧しい農家出身である私が目指したのは前途ある若者が連合赤軍といった過激なことに走ることなく、また貧しい者やハンディのある者でも教育が受けられ、努力すれば等しく機会が与えられる社会、困っておられる人には手を差しのべ皆が心豊かに暮らせる国家である。

本当に国家が財政危機で破綻寸前の時には(現在はそうではないが)国民の理解を求め、搾り取るのではなく協力して貰うべきなのだ。震災後多く集まった善意の義援金のように国民自らが納得できるもの、国家の繁栄と国民を幸せにするための税制度と社会の仕組みを作り上げなければならない。政治の役割は国家のシステムを作るための大きな枠組み(法律)を作ること、官僚はその執行人に過ぎない。

この国の統治機構を根本から見直すという新たな志を持って我々は大きな一歩を踏み出そうと思う。

私闘越え 滅びゆくかよ 秋津州
所詮この世は 浮き世成りせば

2012. 3. 30 亀井 静香

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