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日本人が培った共助、寛容の精神

あけましておめでとうございます。

日頃より格別のご支援を賜わり心より感謝申し上げます。

さて昨年はイギリスのEU離脱、アメリカ大統領選挙でトランプ氏勝利など、何れも現状に対する不満が増大した民衆の投票行動に依って、世界中が揺れた年でした。

資本主義はお金を集めて、事業する→雇用を生む→お金を遣うという循環が機能すれば、分配機能として良い仕組みですが、現在は残念ながらそうなっていません。強く大きな者がより多くを回収しようと人件費を削り、またグローバル化による国内産業の空洞化が拍車をかけて労働分配率は減り、格差が拡大しました。大多数を占める中間層が既得権益者及び既成政治に対する不信感を爆発させ、より利己的な保護主義を掲げる方に期待が集まった結果で、これは欧州やアメリカに限ったことではありません。

私は世界の動向及びアメリカの現状から昨年5月にトランプ氏の勝利を予測して、我が国に対する理解不足と暴言をこのまま看過する事は出来ないと、会談を申し入れておりました。トランプ氏が選挙戦で多忙になった為、叶いませんでしたが当選前に来た最初の外国の政治家として大層な歓迎を受け、議論する予定だった政策課題についてもトランプ選対の最高幹部らと詰める中で人脈も出来ました。来年一月に発足する新政権ではこれらの側近達もホワイトハウス入りする筈で、今後の日米関係について微力ながらもお役に立てればと考えている次第です。

今年はフランス大統領選に続き、ドイツでも総選挙が行われるなど世界の動向はより不透明さを増し、経済も予測出来ない状況です。世界経済を牽引してきた中国経済が減速し、世界中で保護主義が横行すれば我が国への影響も大きく、我々は国家の利益をどう守るか、日本人の生活原理は何かということをあらためて考え、対峙する必要があります。

明治維新は開国して、西洋の生活様式、資本主義を取り入れるという理念で始まり、更に第二次世界大戦後は米国主導の経済活動を経て、グローバル化を進めてきました。その結果、我が国の産業も空洞化が著しく、国民の懐は暖まらず、地方経済は冷えきっております。

訪米直前に傘寿の誕生日を迎えて卵からかえったような心情でおりますが、世界が激動する中で、日本人が培ってきた共助と寛容の精神を今一度鑑みる大転換期と捉え、平和で豊かな国を子孫に引き継げるよう、自分の務めを精一杯果たして参る所存です。

年頭に際し旧倍に増してのお力添えとご指導をお願い致しますと共に、併せて皆々様のご健康とご多幸を祈念申し上げます。

平成29年元旦


今一度 生まれおりたる この身なら やるだけやるぞ 命果つるまで

亀井静香


※無断転載を禁ず

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